病気・ケガ
猫の皮膚の病気と治療について
他のペットと同じように室内にいるネコちゃんも、免疫力の低下や環境などが原因で皮膚病にかかることがあります。
皮膚病を発症している際は「掻く」「舐める」といったしぐさが頻繁に見られるようになるので、飼い主さんは比較的軽度なうちに異常に気付くことができます。
皮膚病の種類によっては人間にも感染しますので、ネコちゃんに症状が出た際はすぐに治療しましょう。
こちらのページではネコちゃんの皮膚病と治療についてまとめました。症状が悪化すると治療が長引くことに繋がりますので、早期発見、早期治療に是非お役立てくださいね。
○ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎は、身体にノミが寄生することによって炎症が生じる病気です。
ノミがネコちゃんの血液を吸う際、放出する唾液によって免疫反応が起き、激しいかゆみや赤い発疹などの症状がでます。
ネコちゃんが頻繁に患部を掻いたり舐めたりするため、炎症がさらに広がり、悪化することがあります。
ノミは様々な種類がありますが、ネコちゃんに寄生するノミはネコノミと呼ばれる2ミリ程度の小さな茶色い虫がほとんどです。黒い点のような糞をしますので、ノミ自体を見つけることがなくてもノミ取りくしでブラッシングをした際に黒い異物があれば、ノミに寄生されている可能性があります。
ノミは多い時には1日に40個近い卵を産みますので、放置しておくとすぐに数が増えます。
ノミアレルギー性皮膚炎は人間や他の動物にもうつりますので、ネコちゃんの身体や寝床だけでなく、クッションやソファなどもこまめに洗ったり、掃除機で吸引することをおすすめします。特に高温多湿になりやすい場所や、春から夏場にかけては増殖しやすいので注意が必要です。
ノミアレルギー性皮膚炎を治すには、まずノミを駆除することが必要です。
一般的には滴下型の駆除剤や昆虫発育阻害剤などを投与します。卵には効果がないため、一週間前後の間をあけながら投与する必要があります。患部の炎症にはアレルギー反応を抑える抗アレルギー薬や、かゆみを抑える薬を塗布します。
ノミはネコちゃんの血液を吸うだけでなく、感染症などの媒介になる恐れがありますので、すでに他の症状が併発している際はその治療も施します。
治療中は他の動物との接触を避けましょう。自宅で複数のペットを育てている際はノミがうつっている可能性がありますので、検査することをおすすめします。
○ツメダニ症
ツメダニ症は、ダニの一種であるツメダニに寄生されることよって生じる炎症のことです。ツメダニにはネコちゃんに多く見られる「ネコツメダニ」の他に、ワンちゃんに多く見られる「イヌツメダニ」やウサギに多く見られる「ウサギツメダニ」などがあります。
ツメダニ症の主な症状は、大量にフケが出ることです。フケは背中に多く見られますが、他にも耳の裏や脚の付け根、おなかなどにも発症します。フケ以外にも、湿疹やただれ、かさぶたが生じることもあります。
ネコちゃんによっては全くかゆがらないことがあります。
そのため飼い主さんは皮膚病とは気付かずに、治療が遅れることがあります。ツメダニが人間にうつった際は激しいかゆみを引き起こしますが、ツメダニは人間の皮膚の上では繁殖できないため、かゆみが出てもしばらくすると治ります。しかしネコちゃんや他の動物の場合は繁殖を繰り返すので、すぐに診察することをおすすめします。
ツメダニ症はツメダニに寄生されている動物との接触や、ハエやシラミなどからうつります。
一般的に殺ダニ剤が含まれたシャンプーでダニを洗い流し、身体にも散布して治療します。ツメダニは吸血しなくても10日前後は生きられるので、部屋の中に殺ダニ剤を撒くなどして環境を整えることも大切です。こまめに掃除機をかけ、繁殖させないようにしましょう。
○疥癬
疥癬はヒゼンダニに寄生されることで、皮膚に炎症を起こす病気です。寄生されると激しいかゆみが生じるため、ネコちゃんは脚で頻繁に掻いたりして、脱毛したり皮膚を掻き壊すことがあります。
ヒゼンダニは皮膚の角質に穴を掘って入り込みます。
その穴の中で産卵したり、刺激物質を分泌するなどして、皮膚を破壊します。かゆみはネコちゃんの免疫細胞が皮膚を守ろうと反応するために起こります。炎症は耳の根元や頭部に起こりやすく、瞼など顔全体へ広がります。
疥癬を患う原因は、疥癬を患っている動物との接触でうつることが多いです。治療の際は、外用薬や内服薬でダニを駆除します。薬剤を入れたお湯に身体を浸したり、症状によっては抗生物質などを投与します。完全に治るまで、他の動物との接触は控える必要があります。
○白癬
白癬はカビの一種である皮膚糸状菌が、皮膚に広がる病気です。
身体の色々な所に円形の脱毛が見られ、脱毛した部位はかさぶたができます。かゆみはあまりないようですが、白癬にかかっているネコちゃんは他の病気を患っていることが少なくありません。
白癬にかかる原因は、すでに菌を保有している動物との接触で感染することが多いです。免疫力が正常であれば自然に完治しますが、ネコちゃんが他の病気を患っていたり、仔猫や老猫の場合は自力で治すことは難しくなります。
治療方法はどの程度感染しているかによって異なり、状態によってはネコちゃんの毛を剃ることがあります。
一部分だけで発症しているなどの場合は、薬用剤を患部に塗布したり、薬浴が一般的です。全身に症状が出ている際は、殺菌効果のある内服薬を処方されることがあります。
白癬は人体へも影響がありますので、飼い主さんの身体を守るためにもご自宅を念入りに掃除する必要があります。シーツなどの洗えるものは、漂白剤などで消毒すると良いでしょう。カーペットや床などはこまめに掃除機で吸引します。ネコちゃんの毛は感染源となりますので、きちんと取り除くことが大切です。
○クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
クッシング症候群とは、腎臓の上部にある副腎の機能が活発になることで副腎皮質ホルモンが多量に分泌され、脱毛や多飲多尿、筋肉の委縮などの症状が出ることです。
副腎は様々なホルモンを分泌する内分泌器官で、炎症を抑えたり、免疫反応に関わるなど生きる上で大切な働きを担っています。
ネコちゃんの発症率は老化によって上がり、脳内や副腎に腫瘍が原因になることもあります。
また他の病気を長期的に治療している際は、薬の副作用で症状があらわれることがあります。甲状腺機能低下症や糖尿病などを患っている場合は、併発することがあるようです。ストレスが原因で症状があらわれることもあるので、環境を見直すことも大切ですね。
治療方法はネコちゃんの状態によって大きく異なります。
一般的に腫瘍がある際は、手術で摘出したり放射線治療を施します。
他の病気や治療によってクッシング症候群が引き起こされている際は、影響が生じる薬の量を減らしたり、他の薬に変えるなどして基礎疾患の治療を続けます。特に副腎皮質ホルモンを投与し続けた際、この病気にかかりやすくなります。
副腎皮質の働きを弱める投薬治療などがありますが、治療が長引いたり、終生治療が必要になるものがありますので、獣医師と相談することが大切です。
○ネコ痤瘡
「ネコちゃんのニキビ」などと呼ばれる皮膚病の1つで、顎の下に黒や赤の炎症が見られます。かゆみを伴うためネコちゃんがしきりに掻くようになり、患部がただれて出血することがあります。
軽度であればネコちゃんの免疫力で完治することがありますが、菌が繁殖するなどして膿皮症などの病気を患ったり、爪で掻くなどして重度の炎症を引き起こすことが多いです。悪化を防ぐためにも、症状に気付いた段階で動物病院に連れて行くことをおすすめします。
ネコ痤瘡は食餌のバランスやアレルギー反応が主な原因と言われますが、他にもネコちゃんの体質やストレスも原因になりますので、普段の生活を見直すことが必要です。食餌が原因でネコ痤瘡を引き起こしている際は、エサの中に含まれる脂肪分のバランスが大切になります。診察の際は、普段食べさせているエサを持っていくと良いでしょう。
治療の際は患部を消毒し、軟膏や経口薬などが処方されます。皮膚を清潔に保つことが大切です。
○肉芽腫
肉芽腫は身体のいたる所に腫瘍ができる病気です。はっきりとした原因が分からないため、発生と悪化を繰り返すことが多く、根治が難しい皮膚病と言われています。
肉芽腫は身体の中でも特に口の周辺に生じやすく、腫瘍ができるとその部位が脱毛したり潰瘍の原因になります。
部位や状態によってかゆみや痛みを生じたり、無痛であったりと症状が安定しないことがあります。季節によっても症状が変化することがあるため、アレルギーの可能性も原因の1つとして推測されています。症状があらわれるとすぐに進行するため、早い段階で治療することが大切です。
治療の際は、一般的に抗炎症作用のある薬剤やホルモン剤などを投与します。患部が腫れるなどして生活に支障が生じている場合は、手術を施すこともあります。
○尾線炎
尾線炎は尻尾の付け根にある脂を分泌する尾線が、炎症を起こして膨れ上がる病気です。
尾線から黄色や黒の分泌物が見られ、状態によっては脱毛や悪臭が生じます。はっきりとした原因は分かっていませんが、去勢していないオスのネコちゃんに多く発症するため、体内のホルモンバランスに関係があると言われています。
治療の際は患部の毛を剃り、消毒や薬用シャンプーで清潔を保ちます。細菌感染が生じている際は抗生物質を投与します。食餌を変えることで症状が軽くなることがありますので、獣医師に相談すると良いでしょう。
以上のように、皮膚病は他の病気を併発や通院が長引いたり、人間にうつるなどの様々な問題が予想されます。
かゆみや痛みが生じるため、ネコちゃんがストレスを抱えるなどして攻撃的になることも多いです。
悪化を防ぐためにも早めに受診することが大切ですので、日頃から毛並みやしぐさに注意して、異常を見逃さないようにしましょう。舐め壊しが心配であれば、エリザベスカラーを使用すると患部を守ることに繋がります。獣医師と相談の上、必要であれば購入することをおすすめします。
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