基礎知識
警察犬や盲導犬はどうやって育てるの?
人間にとって素敵なパートナーであり、愛すべきペットであるワンちゃんたちですが、盲導犬や警察犬のように人にとって役にたつ仕事に関わっているワンちゃんたちもいますよね。
警察犬や盲導犬がしている仕事についてはなんとなく知っているのだけど、そのようなワンちゃんたちがどのような訓練を受けて、仕事をするまでに至るのかという点に関してはよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、今回は警察犬や盲導犬になるために必要なことやどのような訓練を経て、仕事をするまでに至るのかという点についてお伝えさせていただきます!
初めに理解しておきたい犬の習性
警察犬や盲導犬になるワンちゃんの特性などをお伝えする前に、まず、ワンちゃんの習性についてみなさんにご説明させていただきます。
ワンちゃんはもともと狼を先祖にもち、群れの中で生活をしている生き物です。リーダーに服従し、自分の位置が群れの中でどのくらいの位置にいるかということにも気を使っているのです。
ワンちゃんがうまくいうことを聞いてくれないという場合には飼い主さんのことを自分より下の存在と認識していることが多いのです。警察犬や盲導犬ですと、このように言うことを聞いてくれないということでは、仕事ができませんよね。そのため、警察犬や盲導犬のような仕事をするワンちゃんは、訓練をする前に訓練士の方がワンちゃんの適性などを見て、指示に対してきちんと反応できるかなどを見て、選出されるのです。
警察犬になるまでにすることはなに?
警察犬として訓練を受ける前にワンちゃんは血統や犬種などを調べ、3ヶ月間の適性を見分ける期間を取り、警察犬としての可能性がありそうなワンちゃんのみが訓練所に入所することができ、その後、約1年6ヶ月の訓練を受けることになります。
そうして、選出されたワンちゃんたちは、初めに決められた時間に決められた場所で用をたすことや、集中して、「おすわり、まて、ふせ」などの一般的なしつけについて学びます。その後の警察犬として必要になる技能の訓練を受ける上で、これらの一般的なしつけができていることが後々、役に立つのです。
その後6ヶ月の間、ワンちゃんに人間の指示をきちんと聞くことができるように服従訓練を行います。主な訓練は、リード無しでもワンちゃんが訓練士のそばを離れずに歩くようにするリーダーウォークや、訓練士が犬社会でいうボスにあたるものという認識をワンちゃんにさせるのです。これがきちんとできているとワンちゃんは「人間は僕らのボスなんだ。」というように人によって態度を変えるということも少なくなります。
リーダーウォークなどの警察犬としての初歩となるものの訓練が一段落したあとは、みなさんがよく知る足跡を追跡する訓練や、臭いを嗅ぎ分けて判別する訓練と犯人に対する警戒などの訓練を1年かけて行います。これは警察犬として、仕事を行う上でとても重要な事であり、厳しく訓練しないと、職務に影響を及ぼすこともあるかもしれませんので、長い時間をかけてじっくりと訓練されるようですよ。
このように1年6ヶ月の間に様々な訓練を行い、最後に実施される上級検定に合格したワンちゃんのみが警察犬として活躍することができるのです。
盲導犬になるにはどのような訓練が必要なの?
警察犬と同じように人間のために働く盲導犬ですが、厳しい訓練を積んだワンちゃんのみがなれるもので、子犬の頃から盲導犬として活躍できるかどうかの判断が行われます。
盲導犬になれるかどうかというものは遺伝的な要因が大きく関係していると言われます。母犬と父犬が今まで産んだ子犬がどれくらい盲導犬になれたかということも注意して繁殖が行われるようです。
生後二ヶ月くらいの頃、盲導犬になれる見込みがあると判断されたワンちゃんたちはパピーウォーカーというボランティアの家庭でトイレのしつけや、人の食べるものを欲しがらないようにするしつけを受け、パピーウォーカーと一緒にでかけたりなどして、愛情を受けながらパピーウォーカーの家族の一員として人間社会について学びます。
この経験は「人間と一緒にいるのは楽しい。」とワンちゃんに覚えさせ、後に訪れる厳しい訓練も「楽しい」と思えるような強いワンちゃんになるために必要なことなのです。
1歳を過ぎる頃には、パピーウォーカーの家族との別れを経て、ワンちゃんは盲導犬になるために必要な訓練を受けるために訓練センターに入所することになります。
ワンちゃんが訓練センターに入所して、まず初めに受ける訓練が、おすわりなどの一般的な指示に対して、きちんと訓練士の言うことを聞くことができるようにする基本訓練です。これらの基礎的なことができていないと、将来、目が不自由な方とのコミュニケーションがうまく取れないこともありますので、しっかりと楽しくワンちゃんが自発的に訓練をしたくなるような方法で訓練は行われます。
基本訓練と同時並行で行われるのが、盲導犬になる上で必要になる誘導についての訓練です。
ワンちゃんはこの訓練で「道の左によって歩くこと」「段差を知らせること」「交差点を知らせること」「障害物を回避すること」の4つをマスターします。目が不自由な方を誘導する上ではこれらのことができていないと危険を回避できないこともあります。
街を歩く際には、駐車している車両や、ポスト、自転車などの様々な障害物があり、段差や交差点なども目の見えない人にとっては大きな負担になるものばかりです。
これらの負担を減らし、最大限にサポートする上で、ワンちゃんが障害物を自発的に避けるように誘導したり、交差点などで危険を察知し、止まるのか進むのかという判断をワンちゃん自身ができるようにすることが盲導犬になる上ではとても重要なことなのです。
盲導犬になるまでに、3回の試験があり、それら全てに合格したワンちゃんのみが盲導犬として働くことができるようになります。最終的に盲導犬として活躍できるのは、訓練を受けたワンちゃんの中でも3割から4割程度と言われており、現在活躍しているワンちゃんは訓練を受けたワンちゃんの中でもエリートなのです。
警察犬や盲導犬はどんな種類のワンちゃんが向いているの?
警察犬や盲導犬はどんな種類のワンちゃんでもなれるものとお考えになられている方もいらっしゃるかとは思いますが、警察犬や盲導犬に適している犬種というものがあり、特性などを利用することで、訓練の際にも訓練のしやすくなります。
警察犬は知能が高く忠誠心が高く、勇敢なワンちゃんが選ばれることが多く、日本ではジャーマンシェパードやドーベルマン、ラブラドールレトリーバーなどみなさんもよくご存知のワンちゃんが警察犬として有名でしょう。
これらの犬種は、忠実で訓練しやすく、警察犬として仕事を始めたあとも、仕事をすることを喜びとして感じますので、非常に友好的に仕事をすることができるというわけです。
盲導犬は、警察犬と同じように仕事をすることに喜びを感じるワンちゃんが選ばれることが多いのですが、警察犬とは違い攻撃的な一面を持つワンちゃんはあまり選ばれません。目の見えない方の手助けをする盲導犬は、様々な動物や人間に会うことが多いため、警戒心が強く攻撃的なワンちゃんよりも、温厚で人といることが好きなワンちゃんが向いています。
そのため、ゴールデンレトリーバーやラブラドールレトリーバーのような温厚で人と何かをすることが好きな犬種が選ばれることがほとんどです。
様々な努力をして、警察犬や盲導犬は活躍します!
みなさんが想像している以上に厳しい訓練を積んでワンちゃんたちは一人前の警察犬、盲導犬として活躍することになるのです。
人間と比べて短い一生の中でワンちゃんは警察犬として事件の解決に力を貸してくれることや、盲導犬として、目の不自由な方の唯一無二のパートナーになったりと、ワンちゃんにしかできない仕事をしてくれます。
今回は警察犬や盲導犬などのワンちゃんが働くようになるまでについてお伝えさせて頂きました。盲導犬などを見かけることはあっても、意外とどんなことが行われているかということまではわかりませんよね。
そんな働くワンちゃんなどの仕事の迷惑にならないようにするなどの配慮もしてあげるようにしてあげましょう。もしかしたら身近なところでお世話になっている人もいるかもしれませんよ!
これからもワンちゃんにとっての有益な情報をお伝えできるように、みなさんの日々をより良いものにするお手伝いができれば幸いです。
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