基礎知識

獣医師さんってどんな人?獣医師になるにはどんなことをしてきたの?

ワンちゃんやネコちゃんのワクチン接種や、健康診断、ケガや病気の際にお世話になる獣医さんたち。特に、かかりつけの獣医さんはワンちゃんやネコちゃんの健康を守るために必要なパートナーといっても過言ではありませんよね。

そんな獣医さんたちですが、「獣医さんになるにはどんなことをしてきているんだろう?」ということをお考えになられる飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?

人間のお医者さんですと、大学に入り、何年も勉強して研修医などを経てお医者さんになりますが、獣医さんはどうなのでしょうか?

そこで、今回は獣医になるのに必要な資格や、資格を取るためにどんな勉強をしてきているのか、また、獣医になるのに何年かかるのかということをお教えさせていただきます!

獣医さんは国家資格をもっています!

獣医さんも人間の医師や歯科医のように国家資格が必要なのです。獣医学科や獣医学部などのある大学に通い、人間の医師を目指す人と同じように6年間学んでいるのです。しかも、日本には獣医系の大学は、16校(平成28年1月現在)しかないため、獣医になるためには相当の努力が必要になります。獣医学部の入学試験は非常に難しいものとなり、一般の医学部と同等かそれ以上の難易度を誇っていると言われています。

獣医系大学では、座学と実習を主に行い、座学では動物を治療する上での基本的な知識や症例、感染する病気に対してどう対処するかなどの獣医師として必要になる知識について学びます。実習では教科ごとに内容は異なりますが、顕微鏡などを使い、体の組織を見たり、寄生虫などを観察したりなどをします。生きた動物などに注射をすることもありますし、検査の方法を学んだり、大型犬や牛などの家畜が、採血や検査のときに体が動かないようにおさえる保定などの方法についてもこの実習の中に含まれています。

当然、動物の解剖なども実習では行います。そのため、獣医師としての基本的な技術は獣医系大学に在学しているときに学ぶこととなります。動物病院で働く獣医さんの場合ですと、飼い主さんへの問診なども重要な仕事の一つですが、これに関しても在学中に実習があるため、研修医になる前に獣医を目指している学生さんはここで一通りの体験をします。

獣医を目指す方たちは6年間、獣医系の大学に通い、国家資格である獣医師免許を取るための獣医師国家試験の受験資格をまず取らなければなりません。獣医系の大学に入るだけでも大変なのですが、受験資格を得るためにもさらに努力が必要なのです。獣医師免許を得るための試験は6年間真面目に通っている学生でしたら8割程度は合格できるものと言われていますが、それに至るまでの努力は相当なもので、獣医さんになる人はすごいということがわかりますよね。

獣医師免許をとった後に動物病院に就職してからは人間の医師と同じように2年から3年の研修医として勤務する期間があります。それを経て、一人前の獣医さんになるのです。
 
また、獣医師免許を取得した後に、全ての人が動物病院で獣医として働いているわけではなく、動物園や水族館などで働く人もいれば、製薬研究や競馬関連で働く人もいますし、農協などで畜産牧場の牛や豚などの診療や管理を行う仕事もあります。「獣医師免許を持っている人=獣医さん」というわけではなく、みなさんが思っているよりも獣医師免許を必要としている仕事はたくさんあるのです。意外と多いのが海外からやってくる動物や食品などの病原菌を国内に流出させないように防止する仕事をしている「公務員獣医師」です。みなさんが普段接している獣医さんはこれらの職の中から動物病院で勤務することを決めて大事なワンちゃんやネコちゃんのケアをしてくれているのですよ。

獣医師免許を取得するのが大変なのはわかったけど、どのような免許なの?

獣医さんを目指す際に必ず必要となる獣医師免許ですが、先ほどご説明した通り取得まで6年もの時間がかかる非常に取得が困難な資格なのです。

獣医師免許は農林水産省が実施する獣医師国家試験に合格することで取得できる国家資格となります。獣医師免許を取得することで診療できる動物は、みなさまもご存知の通り、ワンちゃんネコちゃんはもちろん、牛や馬、豚や羊やヤギ、鶏、うずらなどとなっており、「獣医師」という名称は獣医師免許を持っている人にしか許されておらず、「ペット医」などの紛らわしい名称は名乗ってはならないという名称独占資格でもあります。

獣医師法では、「動物の保健衛生」「畜産業の発展」「公衆衛生の向上」などを動物の診療や保健衛生指導によりより良い方向に導くことを獣医医師免許を持っている人の使命としているのです。

獣医さんの日々の生活は?

動物病院に勤務する獣医さんたちが毎日について、もっとよく知りたいという方もいるのではないかと思います。ケガや病気になってしまった際の処置や診療だけではなく、他にも獣医さんにはやらなければならないことがたくさんあるのです。

そこでここでは獣医さんが1日に行う主な仕事についてお教えさせていただきます!

外来で来るワンちゃんやネコちゃんだけではなく、獣医さんは入院しているペットの診療やお世話もしなければなりません。そのため、朝は早起きですし、重度のケガなどで入院しているペットがいる場合には泊まり込みで治療を行わなければいけない場合もあります。救急外来などをやっている動物病院では朝早くから夜遅くまで獣医さんが頑張ってくれているのです。

入院している動物の投薬や、食事の用意なども獣医さんの仕事の一つです。予定されている手術の確認や、症例の報告など、獣医さんがやらなければならないことはたくさんあり、お昼休憩などが15時などになってしまうくらい忙しい動物病院もあります。

動物病院によって勤務形態は違いますが、夜間診療などがある動物病院では獣医さんの引き継ぎなどを行い、夜間の診療にも対応できる体制をとっています。いつどんな時でも、ワンちゃんやネコちゃん、ペットたちの命を救ってくれる飼い主さんの心強いパートナーなのです。

獣医さんの仕事で大変なことは?

言葉を話してくれない動物たちの診療や手術などを行う獣医さんですが、何よりも大変なことは人とは違い、症状を話すことができないため、症状やどんな病気なのかということを獣医さんの知識などで判断しなければならないということが大変なことの1つです。些細な動物の変化や、飼い主さんから聞く症状などからどんな病気なのかということを判断しなければならないということは獣医さん自身の知識もそうですし、様々な症例を調べたり、研究したりしなければいけません。獣医師免許を取得したからといって全ての症状が判断できるわけではないので、日々の診療と同時に勉強も続けなければいけません。

最近では、動物の年齢も高齢化しているため、癌や内臓疾患や有効な治療法がない病気なども存在するのです。人と比べて、寿命が短いペットたちの一生がどうすればより良いものとなるのか、治せない病気に対してどう向き合えばいいのかなど、動物が好きな獣医さんにとっては非常に難しい決断を飼い主さんに言い渡さなければいけない瞬間も訪れることもあるのです。獣医さんはペットだけではなく、飼い主さんとも関わらなければいけないため、飼い主さんの気持ちを考えると辛い気持ちになることも多くあるため、これもまた、獣医さんの大変なことといってもいいでしょう。

厳しい試練を超えた獣医さんたちは動物好き!

ワンちゃんやネコちゃんの健康を守るために飼い主さんたちの力になってくれる獣医さんですが、動物病院での勤務に至るまでの道のりはかなり厳しいもので、それを乗り越えて獣医師免許を取得した獣医さんたちは非常に心強いですよね。

いつもフレンドリーに飼い主さんのワンちゃんやネコちゃんに対する心配事や悩みなどの相談になってくれたり、安心させてくる獣医さんたちは、ある意味で6年間のハードな実習や座学に耐えてきたペット好きなペットの専門家なのです。そんな獣医さんときちんと信頼関係を築くことができれば、ご自身のワンちゃんやネコちゃんが病気になってしまった際にも安心ですし、健康を守る上での助けになるでしょう。

今回は、動物好きで熱い熱意を持った獣医さんたちがどのように獣医になるかということについて今回はご説明させていただきました。ワンちゃんやネコちゃん、動物病院に関する不安を解消するお手伝いが少しでもできていれば幸いです。

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